ブロックされていない、その一点だけを見つめていた夜
別れて三週間。
トーク画面はまだ生きている。アイコンも、去年の夏にふざけて撮ったあの写真のまま。
スタンプの一覧まで開いて、送らずに閉じる。この動作を何回やったのか、途中で数えるのをやめた。
消されていない。それだけが細い糸みたいに見えて、指先が冷たくなっていくのに画面から目が離せない。
私はこの状態を、恋愛で一番厄介な宙ぶらりんだと思ってる。振られたわけでもなく、繋がっているわけでもない。
トーク画面を開いては閉じる時間
プロフィールの背景が更新されている日がある。既読はつかないのに、その人の生活は動いてる。
忘れられてないのかも。
そう思った瞬間、胸の奥がドクンと鳴る。で、次の瞬間には、いや期待するなって自分に言い聞かせる。この往復が一番しんどいんだよなぁ。
編集部のマキは二十九歳。彼女がこの時期のことをぼやいていた。夜中の二時に相手のホーム画面を開いて、朝起きたら開いた記憶がないって。無意識の癖になってたんだよね。怖いでしょ。
男にとってブロックは想像以上に重い決断
女性は感情が振り切れた瞬間にブロックできる人が多い。男性は違う。
明確な理由がないと切らない。嫌いになったから、では手が動かない。相手からの被害があるとか、次の恋人に見つかったら困るとか、それくらいの事情が必要になる。
つまりブロックされていないのは、切る理由が発生していないだけの可能性がある。脈ありのサインとは限らないの。ここを混同すると、半年くらい平気で溶ける。
ラインをブロックしない男性心理は四つに分かれる
決めきれずに保留にしている回避タイプ
交流のあるフォトグラファーのケンタは三十四歳。彼は自分から別れを切り出したのに、最後までブロックできなかった。
連絡を絶ちたい気持ちはあった。それでも指が止まる。彼にとってブロックは、もう二度と戻らないと自分の手で決めてしまう行為だった。
別れた直後はこれでよかったと思っていたのが、二か月経つ頃から未練がじわじわ滲んできたと本人が言っていた。残していた時点で、心のどこかで保留にしていたと認めてもいた。
このタイプが一番多い。決断を先送りする性格の人ほど、トーク履歴を墓場みたいに抱えたままにする。
消すのが面倒で放置しているだけのタイプ
残酷だけど、これも普通にある。
積極的に連絡したいわけでもなく、完全に切りたいわけでもない。手続きが面倒だから触っていないだけ。
期待していい材料がゼロなのに、こちらは毎晩解読しようとしてしまうんだよね。相手はもう他のことで頭がいっぱい。この温度差、正直きついわ。
いつか使うかもしれない保険タイプ
新しい彼女ができた後も元カノのトークを残している人、けっこういる。
過去を清算しきれていないケースと、何かあったときに連絡できる窓口として置いているケース。後者はドライに見えて、実はプライドが混ざってる。自分を好きだった人の存在を消したくないっていう、あの感じ。
私はこの心理、けっこう本気で無責任だと思ってる。残されている側は、その窓口を希望だと勘違いするから。
傷つける行為そのものを避けたいタイプ
優しい人ほどブロックしない。というより、できない。
相手が気づいたときにどう思うか、想像してしまって手が止まるの。悪意がない分、こちらは余計に読み取れなくなる。
やさしさの副作用で人が三か月待たされる。皮肉じゃん?
インスタだけ切られてラインは残っている理由
近況は見たくない、でも道は残したい
美容の発信をしているリナは二十七歳。彼女の元彼は、ラインは残したままインスタだけブロックしてきた。
最初は意味が分からなくて、スマホを持つ手が汗ばんだって。嫌われたのか、それとも何なのか。
答えは単純だった。日常の近況を見たくないだけ。誰と遊んでいるとか、楽しそうにしているとか、そういう情報が視界に入ると引きずられる。だから遮断する。
連絡手段は残す。会いたくなったときの道を潰したくないから。
吹っ切れたふりをしている人ほど、SNSだけを先に切るの。実際その元彼は数か月後、見てなかったわけじゃない、と言いながら連絡してきた。ほらね。
付き合っているのに音信不通、でもブロックはされない
返す気力が枯れているだけの時期がある
まだ別れていないのに返信が減って、そのうち既読すらつかなくなる。それでもブロックはされていない。
ライターのアヤは二十八歳。彼女がこの状態を二か月経験した。
後で分かったのは、相手が仕事で潰れていたこと。人と感情のやり取りをする体力が残っていなかった。興味を失ったわけじゃなく、今は対応できないという状態。
ブロックしたら後で連絡が取りづらくなる。それが分かっているから残していた。
この期間にこちらが追撃すると、たいてい壊れる。既読つかないねって送るのが、相手にとってはもう一つの重りになるんだよ。
ブロックされる側にも引き金がある
通知が積み上がると人は蓋をする
別れた後に何十通も送ってしまった人の話も聞いた。最初は返事が来ていたのが、だんだん間隔が空いて、最後にブロック。
これは嫌いになったという評価じゃない。感情の量が処理能力を超えたときの遮断。
通知バッジの数字がじわりと増えていくのを見るだけで、開くのが怖くなる。開けば責められる気がする。だから機能として切る。感情ではなく、処理の問題。
自分の気持ちを全部言葉にして送った側からすると納得いかないよね。ただ、受け取る側の容量は有限なの。
黙っていたら解除された話
一度ブロックされた後、三か月まったく何もしなかった女性がいる。SNSでの匂わせもなし、共通の友人経由の接触もなし。
四か月目に、通知が鳴った。解除されていた。
量が減れば戻ることがある。時間が経って心が落ち着けば、自分から解除してくる人は確実に存在する。はぁ…と息を吐いて待つ側の忍耐が要るけど。
残されている時間を、どう使うか
ブロックされていないことは、完全に終わっていないサインかもしれない。断言はできないし、期待の根拠としては弱い。
それでも、まだ何かが動く余地はある。
問題は、こちらが焦って動いた瞬間にその余地が消えること。復縁した人たちに共通していたのは、追いかけるのをやめた期間があったこと。全員そう。
向こうから会いたいと連絡が来るのは、こちらが静かになってからなの。プライドや後悔が絡まって動けなくなっている男性は、相手が静かだと自分の気持ちに向き合う時間ができる。追われている間は逃げることしか考えない。
だから、残されたトーク画面を毎晩開く時間を、別のことに回す。仕事でも、髪でも、体でもいい。
三か月後に何もなければ、それが答え。連絡が来たなら、そのときのあなたは今より魅力的になってる。どっちに転んでも損しない賭け方って、これしかないと思うわ。
消されていない名前を見つめて眠れない夜が、いつか思い出す価値もないくらい遠くなるまで。

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